先日の埼玉新聞に、20世紀最大の知の巨人と目されている
レヴィ・ストロースが100歳になっったという記事があった。レヴィ・ストロースとは、常に人類に根本的メッセージを送り続けたフランスの人類学者であるが、いつノーベル文学賞を受賞してもおかしくない人物である。その代表的著作は
「悲しき熱帯」であるが、その邦訳本の序に「人類を脅かす二つの禍は、①自らの根源(もと)を忘れてしまう事、②自らの増殖で破滅する(末を乱す)事」と記している。また氏は大の日本好きということで、日本だけが過去への忠実と、科学と技術の変革の間に、ある種の均衡を見出してきたとの主張は、大いに私を勇気付けてくれた。それは、アインシュタインが大正期に日本を訪れたとき、貧しくも清廉に自然と文化のバランスを取りながら暮らしている人々を見て感嘆したという逸話に通じるものだ。
前回のブログでも触れたが、今回のアメリカ金融資本主義の崩壊を前にして、つくづく思うのは、その解決の一助となる方途のひとつは、この古きよき日本人の知恵(倫理)の獲得だと思うのは私だけだろうか。