物は大切に使うと、持ち主のために喜んで働き、粗末にあつかえば、反抗したり、ときには喰ってかかる。物は人とおなじように生きているからである。物をよく働かせる人は物にめぐまれていく。とりわけ物を象徴し、すべての財を具象した金銭は、もっとも敏感な生き物である。金銭はその人の努力に正比例し、欲心に反比例して集まってくる。
大リーグのイチローの、グローブやバットといった道具に対しての愛情を込めた手入れ振りは、つとに有名である。恐らく前人未到の素晴らしい彼の記録は、決して偶然ではないのだろう。倫理の実践のひとつとして、全社的に始めた機械清掃の効果は、当社の修繕費の激減という形で明確に表れ、業績にも大いに貢献している。