このたび埼玉県は、緑と共生する社会づくりに貢献した者を顕彰するとして、郷土(菖蒲町)の偉人、本多静六賞を創設したが、その第一回対象者として、旧大滝村の山中敬久氏が選ばれた。山中氏は私の高校の同級生である。長年の労苦が報われて私も嬉しい限りだ。ところで皆さんは本多静六と言う方をご存知でしょうか。氏は日本初の林学博士で、日比谷公園や大宮公園を設計した公園の父と言われる人だ。渋沢栄一とも親交があり、独自の蓄財学をもって一代で巨万の富を築いた人でもある。しかし「次代に美田を残さず」を徹底され後半生、匿名でほとんどの財産を公に寄付をしてしまったと言う。その財産告白録を読んだ事があるが、すさまじいものである。その財産の一部の奥秩父の広大な山林が県の奨学金制度に活用されたこともそれで知った。その本を読んで面白かったのは、その幸福論である。それによれば、人が幸せと思うのは、日々の積み重ねの中で、少しでも上向きになっていることだという。言い方は悪いが、それは貧乏人も富裕層も同じだと言うのだ。見方を変えれば、すでに高い水準にある富裕層のほうが、幸福感は乏しいのかもしれない。貧と富、双方を経験した人ならではの発想かも知れない。いずれにしても、さらなる幸福論の議論は倫理法人会で考えましょう。