財団法人日本体操協会副会長 塚原光男氏の講演を聞く機会を得た。塚原氏はご存知のとおり、メキシコ、ミュンヘン、モントリオール五輪と3大会連続出場し、モントリオール大会では5年連続の団体優勝に貢献した人である。独創的な大技の発明家でもあり、鉄棒の「月面宙返り(ムーンサルト)」は余りに有名である。ご子息の直也氏も2004年のアテネ五輪で28年ぶりの体操団体金メダルを獲得したまさに親子鷹である。会場に実物の金メダルを持参され、私も触らせていただいたが、600グラムあるというがずっしりと何ともいえない感触だった。講演内容も素晴らしかった。モントリオールでの試合で、9.5以上の得点がでれば逆転優勝という場面で、結果9.9を出して金メダルを獲得したときの話しは非常に興奮した。まさに技術を超えた何かが作用した瞬間だ。それらを整理すると、まず
第一に「運」
第二に「基本技術」
第三に「チームワーク」
総括すると「心」だという。
しかしながら、そんな「体操王国日本」が瞬く間に凋落し、復活するまで28年間かかった原因は、一に「過信と慢心」であったという。我々にとっても、持って瞑すべしである。